2009年12月28日月曜日

シベリア俘虜記・田舎暮らし便り(蓼科より)

平成21年12月27日,日,晴,

最近,松本の林友会長穂苅様の著書「シベリア俘虜記」を読んだ。再版なされて,お送り頂いたものだ。
穂苅さんは,輸入住宅協会の初代会長を務めて頂き大変お世話になった方。シベリア帰りということはお聞きしていたが,あまり口になさらなかった。尊敬してやまない方である。

日本がポツダム宣言を受託して終戦になった後において,ソビエトは火事場泥棒のように満州に侵入し,日本へ帰すと偽りながら,57万人という膨大な数の兵隊をシベリアに抑留したのだった。帰国できなかったのは5万5千人と書かれている。

穂苅さんは,タイシェットというところに連れて行かれ約2年間飢えとマイナス数十度の寒さと強制労働という,まさに生き地獄の体験を強いられ,それでも運良く故国に帰ることができた。
帰り着くとすぐ,このソビエトによる酷い仕打ちを連合国に訴えようと自宅の倉にこもり書き上げたのだという。だから本物の生の体験記だと思う。

ソビエトによる不当なシベリア抑留のことは知ってはいたが,チャンとした書物を読んだことはなかったので,実態を知る良い機会を頂いたと感謝している。

読み進むにつれ,何度も胸が苦しくなる思いだった。ユダヤの虐殺も原爆も酷いが,シベリア抑留強制労働は生身の人間を時間をかけて拷問で殺していくに等しいと思った。読後に残ったものは,ロシアへの怒りと,どうして果てしなく戦争は続くのだろうかという疑問だった。そして日本の柔軟外交への憤り。
Amazon.co.jp: 極光のかげに―シベリア俘虜記 (岩波文庫): 高杉 一郎: 本

数年前に藤原てい(諏訪の女,新田次郎の妻,藤原正彦の母,)の満州引揚者の悲劇の記録「流れる星は生きている」を読んだが,これも地獄の記録で,何度も何度も泣かされた。
この本は,若い人達に是非読んで欲しい。地獄の底から生還する凄まじい記録から根源的な生きる勇気が与えられた。
Amazon.co.jp: 流れる星は生きている (中公文庫BIBLIO20世紀): 藤原 ...



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

<わたしのサイト>
田舎暮らし情報館(蓼科より)



0 件のコメント: