2010年6月1日火曜日

炭焼き・炭出し・田舎暮らし便り(蓼科より)

平成22年5月30日,日,晴

今日は待望の炭焼きを見学した。
元建設業社長をしていた友人が会社を整理し引退して始めた仕事だ。年の頃50才,風貌凛々しくナイスガイである。
ヨガの講師などもしている風変わりな男でもある。

その彼が1年かけて自分流オリジナルの炭窯を作り,現在試し焼きを続けている。今回で4回目だそうだ。その炭出しを見せてもらった。

佐久市布施温泉の奥約10kmの道ばたにあった。
昔,山の中で見た炭焼き釜と違い,大きく堂々としたものだった。ファサードは径30センチ程の石で乱積みされていた。全部自分一人で作ったという。

先生はいない。というより自分流を作りたかったからだという。先生を頼んでしまうと,その通りに作らなければいけなくなるからだ。
たくさん見てあるいたという。本もたくさん読んだ。Youtubeも見た。その上で自分の窯を作った。一つの哲学だと思う。ヨガをやるくらいだから思索が深い。

「青い煙りが白くなると出す頃合いなんだ」と,丁寧に解説しながら午後1時から4時頃まで日本古来の白炭作りを見せてくれた。
私にとっては全く未知のドラマで,最初から最後までワクワクして見,聞き,質問した。そして片手でビデオカメラを持ち続けた。きっと面白い炭焼き動画集ができるでしょう。

2日前に原木を立て込み,中1日置いて今日の炭出しである。
吸気穴を広げるまでは,中の炭は黒くて温度も500℃位だという。空気を少しづつ増やしていくと,そこで一気に1000℃まで上がり真っ赤になる。

そして窯から出す過程で精錬といって,最後に残っているガスを燃やして炭作りが完結します。その透明感のある青白い炎の美しさは神秘的です。炭の赤もすばらしい美しさだ。後は引き出して冷ますだけ。
熱い仕事です。1000℃に向き合いながら作業するのですから。彼は溶接用の面を着けて作業していた。それがないと耐えられないそうだ。

当たり前のことだが,木が空中の炭酸ガスを取り込んで蓄えたものを,炭焼きという作用によって炭素だけを取出すということなのだ。
木は,純粋に近い炭素になるために自ら1000℃になり,真っ赤になり,神秘の炎を出し変身する。目の前に立っている木を見ても,こんなスゴイエネルギーが潜んでいるとは想像できない。しかし,それを可能にしているのがこの窯なのだ。窯と一体になって初めてできる変身なのだと思う。

感動的でした。すばらしいドラマを見せてもらいました。
後ほど,炭焼き動画をシリーズで発信致します。



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