2011年5月29日日曜日

蓼科便り189号・田舎暮らし便り(蓼科より)

お断り:前回のブログと一部内容が重複します。
★ーーーーーーーーーーーーーーーーー2011年5月28日(土)★
★ 今回のテーマ:「ほっとステイ」はすばらしい!& 津波被災マップ
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  22日の田植は順調に終ったのですが,その後大失敗をしでかしました。水を貯めることばかりに集中していた私は余水を抜くことを忘れてしまい,田植後から翌日にかけてかなり降った雨水で植えたばかりの苗を冠水させてしまったのです。浮き苗がたくさん出てしまったことと,苗に泥の汚れがついてしまったのが問題です。
24日から毎日その後始末で田んぼに入っています。かなりキツイ農園アスレチックです。ですが東日本大震災の被災者の皆さんのことを思えば極楽だと思いながらやっています。トノサマガエルがたくさんいて,仲良くやっています。彼等は本当に人懐っこいですね。
 この便り187号で書かせて頂いた昆虫行動学の大谷剛教授から,「分蜂」についてコメントを頂きました。<>内です。
<ブンポウは「分封」が語源なので、正式にはこれを表記するのが正しいのですが、「分封」ではなかなかハチをイメージしにくいので、私は「分蜂」のほうを好んで使用しています。多くの人が用いているので、もう間違いではないと思います。>
兵庫県立大学大学院環境人間学研究科共生博物部門
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 今回は,「ほっとステイ」について書きます。元は,上田市武石にある農業生産法人信州せいしゅん村(末尾にURL)が創設したもので,立科町では「まちづくり協議会ユーユーたてしな」が2009年春から取組んでいるものです。簡潔に言えば,学生・青年達の「日帰り農村体験」です。長野県内各地で行われており,全国に広がるものと思います。
都市と農村の交流を深め,都市の子供達に農村と自然のすばらしさを体験してもらい,地域にとっても活性化につながるすばらしい事業だと思います。この取組みが,県や国の関係省庁やJTBやテレビ局を動かしています。
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 今月11日,23日,25日と3回,「ほっとステイ」の受入れ家庭を務めました。3回とも横浜市の中学2年生でした。予定表を見ると6月は千葉県の中学が多いようです。 大型バス4〜8台で,100300人と大部隊で来るので,受入の役員達は受入れ家庭を手配するのが大変です。少ない時でも20戸,多い時は40戸も手配しなければなりません。一班を6〜7名にして,子供達を各戸に送迎します。
私の場合,9時半頃迎えます。子供達は皆元気で礼儀正しく素直でした。しかし何故か,先生方とカメラマンはホストに対して挨拶ができないのです。???
まず休憩室に案内して,お茶を飲みながら自己紹介し,行動予定を話しミーティングします。午前中は,農作業体験をさせるようにしました。野菜の種蒔き・定植,草刈り(鎌の使い方),草取り,ミツバチの観察等々です。雨の時は倉庫でEMボカシ堆肥をつくりました。 午後は2kmほど離れた私の田んぼへ,農村散策として歩きます。できるだけあぜ道を歩きながら農業や環境の話をします。田んぼに着くと,不耕起栽培と一般農法の違いを説明します。私の田んぼにいるいろんな生き物を見ながら生物多様性について話します。子供達は皆熱心に聞いてくれました。
お昼のみそ汁は,生徒に畑の野菜を採らせてそれを具にして私が作りました。自分で採った野菜を具にした炊きたてのみそ汁は,”美味しい”と人気でした。
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 このようなことをしながら,いろいろ気になったことを書いてみます。
まず驚いたのは,生活の基本動作ができないことです。帚も鎌も使えないし,鉛筆は削ったことがないといいます。移植ゴテを使かわせても誠にぎごちない。果たしてノコギリや金槌は使えるのでしょうか。まるで未完成のロボットの動きを見ているようでした。
自分の中学時代は掃除も工作もやったことを思い出し,このまま大人になってしまうのかと思うと心配になります。パソコンと車を扱えるだけでは生活できないですよね。
もっと気になるのは,全てに女子が勝っていることです。行動,話し方,リーダーシップ,全てがそう見えます。2kmばかりの散策で,男子生徒が二人途中で疲れたと座り込んでしまったのです。いったいどういうことでしょう。全て女子が先頭で,男子は後から着いてくるのです。何と情けないことでしょう!
 ミツバチの観察で面白いことに気がつきました。基本的に,乱暴なことをしなければ日本蜜蜂は刺しません。私が巣の前で蜂を手に乗せて,「刺さないからそばにいらっしゃい」と言っても,「怖い」と言って,何としても2m位遠ざかっていて寄って来ないのです。
私が信じられないのではなく,ただ「怖い」らしいのです。「蜂は刺すもの,怖いもの」という先入観が深く染み付いているのでしょう。一人だけ私のそばに来た男子がいましたが,後は全員ダメでした。
わたしはこの様子を見て,毎日マスコミで大騒ぎしている放射線のことを思い出しました。「放射線は怖いもの」,それが全てになっていて,科学的な観点が無いところがこの子供達と同じだと感じたのです。
 目の前で私が蜂を手に乗せ,仲間が私の側に来ていて,「刺さないよ」と説明され,幾つかの科学的事実を目の当たりにしても行動できないのです。これって一体何でしょう。未開人とか,臆病者とか,感情の動物とか,いろんな言葉が頭に浮かびますが,どれも違うような気がします。どなたかご教授頂けないでしょうか? 更に驚いたのは,彼等ほとんどがミミズやカエルを気持ち悪いといい,見ただけで悲鳴をあげるのです。そこで彼等に判り易く話してやりました。「自然環境は大切だよね。このすばらしい緑と大地を守ってくれているのは,ミミズやカエルを初めとして,たくさんの昆虫や微生物なんだよ」と。「もし地球から蜂がいなくなったら人間は生きて行かれないんだよ」と。
家庭でも学校でも,エコだ環境だと毎日口にしているに違いないと思うのですが,自然環境を守ってくれているミミズやカエルを見て悲鳴をあげ大嫌いなどと言っているようでは話になりません。きっと親か先生がそのように教え込んだのでしょうが,根本が間違っていると思えてなりません。
しかし帰る時には,数人の子供は「ミミズもカエルも好きになれそうです」と言ってくれたのは嬉しかったです。
子供達といるととても楽しく,6時間があっという間に過ぎます。彼等も楽しんだのでしょう,「時間が短すぎる」と言っていたのです。午後3時頃にバスが迎えに来て,見送りました。彼等はキチット礼を言って乗車し,手を振って別れました。
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信州せいしゅん村ホームページ(「ほっとステイ」が載ってます)
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「2011年3月11日東北地方太平洋沖地震に伴う津波被災マップ」が,「撤退の農村計画」2011/05/27ブログに掲載されました。大変な労作です。
日本地理学会災害対応本部津波被災マップ作成チームによるサイト。東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)で、東北地方太平洋岸を襲った津波による被害を、地震後に撮影された空中写真(GoogleEarthなどの衛星画像も参考)をもとに、2万5千分の1の地形図に記したものを、公開しているサイトです。サイトのURLは以下の通り。
http://danso.env.nagoya-u.ac.jp/20110311/
赤い線が津波の遡上範囲、青く塗られているところが家屋の多くが流される被害を受けた範囲です。【閲覧用のページ】のところにあるリンクをクリックすれば、地形図の画像ファイルを閲覧したり、電子国土Webシステム上で被害状況を閲覧したりできます。
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<わたしのサイト>・リンクを貼って頂けませんか?
田舎暮らし情報館(蓼科より): http://tateshinadayori.blogspot.com/
田舎暮らし動画: http://jp.youtube.com/user/takasukey
「不耕起移植栽培・春の準備」と「不耕起移植栽培:田植」をアップロードしました。
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